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- 2023.08.04
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映画『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』特別試写会 イベントレポート 23.8.18
8月18日(金)より全国公開する、鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督最新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』の公開を記念して、TBS「クレイジージャーニー」出演で注目を集める身体改造ジャーナリスト・ケロッピー前田と人気アーティスト・サエボーグが特別試写会、上映後のトークショーに8 月 3 日(木)に登壇いたしました。
自身のカラダから臓器を摘出するというアートパフォーマンスをする主人公の姿を、肉体へのアートの造詣が深い二人はどう見たのか?
映画を鑑賞したケロッピー前田は「まさしくこの映画って身体を改造するということが未来においてどうなるか、ということをテーマにしているので、これまで現場で取材してきた身体改造カルチャーの未来を予言した映画だと思い、非常に感銘を受けました」と身体改造ジャーナリストならではの感想を述べ、続けてサエボーグは「タイトルに”フューチャー”と入っていたので、最初は SF 設定なのかと思いましたが、逆に人工知能や AI に一切触れないところが良かったです。細かい SF 的な設定を積み重ねていくというよりは、寓話的・神話的なところをまとめていると感じました」と大絶賛。
共にクローネンバーグ監督の大ファンというケロッピー前田とサエボーグ。サエボーグは「私はクローネンバーグ監督の内臓感覚がすごく好きで、彼は内臓・身体が変質していく過程とともに精神がどう変わっていくかを追いかけている方だと思います」と監督が⻑年表現しているテーマについて語ると、「体の変異が精神の変異とセットになっているところが面白くて、今回の映画でもアーティストが創造的な気持ちになることによって自分の体内でも新しい臓器ができる。アートを生み出すという頭の中で起こっていると思われる行為を、この映画の主人公はその行為によって新しい臓器を自分の体内から生み出して、さらにそれにタトゥーを施して取り出して見せている」とケロッピー前田もそれに応じます。
本作で特に印象を残す体中に無数の耳をつけた“イヤーマン”について話が及ぶとサエボーグは「ステラークという有名なアーティストさんがいて、その人は実際に自分の手に耳をつけたパフォーマンスアーティストなんです」とイヤーマンから連想される実在のアーティスト名を挙げ、実際にステラークの取材をしたことがあるケロッピー前田は「人間の体は時代遅れであるという発想から、未来の身体を先取りする行為をパフォーマンスとしてやってる方で、ボディサスペンションもいち早くやった方です」と解説。
また、近未来を舞台にした本作について、ケロッピー前田は「僕自身、パフォーマンスとして額の皮膚を剥がしたり、おでこに一部が突起したインプラントを埋めていたりするんですけど、劇中ではカプリースも額にインプラントをしましたね」と今の世界とのリンクを指摘。映画の世界に時代が追いついてきたと述べ、「人類の進化が問われるなかで、あなたは自分の身体を改造する勇気があるのかと突きつけられた」と作品から受けた強烈な印象を伝えました。
イベントの最後にはケロッピー前田が最新の改造をお披露目!ボディハッキングという新しい身体改造のジャンルの一つとして、自身の身体に LED を埋め込み、光る人間になった様子を見せ会場を沸かせてトークショーは終了となりました。
登壇者プロフィール
ケロッピー前田
世界のカウンターカルチャーを現場レポート、身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は TBS 系人気番組『クレイジージャーニー』で取り上げられ話題となる。主な著書に『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)、『モドゥコン・ブック 増補完全版』(フューチャー・ワークス)など。
サエボーグ
サエボーグは不完全なサイボーグ。半分人間で、半分玩具。自らの皮膚の延⻑としてラテックス製のボディスーツを自作し、装着するパフォーマンスを展開。性別などの固定化されたアイデンティティや、人間の身体そのものを超越したいという強い願望を原動力に、雌豚や害虫を玩具的にデフォルメしたボディスーツに身を包み、生態系の最底辺の生き物たちが織り成す遊戯的なユートピア実験牧場を作り出す。近年の主な発表に、「Theater der welt 2023」(Zoogesellschaftshaus、ドイツ、2023)、「Cycle of L」(高知県立美術館、高知、2020)、「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(愛知、2019)、「Dark Mofo」(Mona Museum、オーストラリア、2019)、「第6回アテネ・ビエンナーレ」(ギリシャ、2018)など。CAA 2022-24(TokyoContemporary Art Award)受賞、2014年に第17回岡本太郎現代芸術賞 岡本敏子賞受賞。