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『少女は卒業しない』初日舞台挨拶

映画『少女は卒業しない』が2月23日(祝・木)に公開を迎え、渋谷シネクイントにて行われた初日舞台挨拶に河合優実さん、小野莉奈さん、小宮山莉渚さん、中井友望さん、中川駿監督が登壇しました。サプライズで原作者の朝井リョウからの手紙が朗読され、会場は感動に包まれました。

エンドロールが終わると客席からは拍手がわき起こる。本作で映画初主演を務めた河合さんは現在の心境を問われ「家からここに来る間、初主演映画が初日を迎えるのは人生で今日一日だけなんだなと感慨深い思いでしたし、ここに立って、みなさんひとりひとりのお顔を見て、心から『ありがとうございます』と伝えたいという思いです」と胸の内を語る。主演の重みについては「群像劇で、私だけ出ずっぱりの主演ではないので、そこまで気負わず、できることをしようと思っていたのですが、やり始めると『背負っているんだな』という感覚も出てきたし、その気持ちをいい意味で使おうと一歩、いつもより勇気を出して表現してみたり、監督と積極的にコミュニケーションを取ってコミットしようとしていました」と明かす。

小野さんは現場で自ら監督に様々な提案をして、演技に反映させていたとのことで「段取り段階で、(役柄の)後藤として動いたり、セリフを言ったりして、それを監督が拾ってくださった感じです。親友と校庭のベンチに座って悩みを打ち明けるシーンで、急に立ち上がったのもそうで、後藤として自然な気持ちで動いていました。自転車で歌っていたのもオリジナルです」とふり返った。

小宮山さんは4人の中で唯一の現役高校生だが「自分に何ができるか? と考えたとき、現場の雰囲気を学校っぽくしようと考えました。役柄は軽音部の部長でしっかりしているんですけど、普段の私は学校でふざけたり、明るいキャラなので、しっかり者と自分の明るさの両方を出せたらいいなと思いながらも、その組み合わせが難しかったです」と現場での苦労を語る。そんな小宮山さんについて、小野さんは「初めて会った時に食べ物の話で盛り上がって『あそこのお店の新作ドリンク、これなんだ』って教えてくれました。私も学生の頃、新作ドリンクの話で盛り上がったなと学生らしさを感じました」と明かした。

中井さんは、クラスになじめず図書室で過ごす作田を演じたが「私も学校という場所があまり得意じゃなくて、青春ってものがしっくりこなくて、キラキラしたものに見えて…、でも憧れちゃうという、ややこしい感情を持っていたな…(苦笑)と、自分と重ね合わせることができました」と役柄への共感を明かす。

中川監督はそんな4人の個性に合わせ、接し方や演出を変えていたという。「河合さんとはいろんな話をしましたね。芝居単位じゃなくて作品単位で『このシーンはこういう意味がある』とか細かいカメラアングルやカット割りの話もしました。その感覚は新鮮で、すごくうまくいったなと思います」と述懐。一方、小野さんとのやり取りについては「基本的に、みなさんに僕が書いた脚本、演出が必ずしも正しいわけじゃないというお話をして、みなさんがこうした方がいいと思ったら自由に変えていいと伝えたのですが、それを一番体現してくれたのが小野さんでした。すごく自由で『こう来るか!』と僕も段取りで知ったり、それが本番でさらに変わったり(笑)、予定調和を壊してくれるのが嬉しかったし、だからこそ小野さんのシーンは活き活きしていると思います」と称える。

小宮山さんについては「純真を絵に描いたよう」と評し、思わず小宮山さんは「純真って何ですか(笑)?」と首をかしげる。中川監督は「小宮山さんは本当に現場を明るくしてくれました。演出どうこうというより、力をもらえてありがたかったです。昨日、リリースされた記事で、4人が人生の転機になった作品を挙げているんですけど、小宮山さんが挙げたのは『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(笑)。一生そのままでいてほしい!これからもそう言い続けてください」とお願いしていた。そして、中井さんについては「作田のキャラクターとパーソナリティが近くて、僕は『余計なことをしないようにしよう』と個性を邪魔せず、活かす演出をしていました。中井さんとは本読みができなくて、いきなり本番で不安もあったんですけど、現場に入ってみたら絶対に大丈夫だと思いました」と役柄とのシンクロ率の高さを称えた。

改めて、キャスト4名に「卒業式」の思い出を尋ねると、河合さんは「うちの高校の卒業式はお祭りみたいで、(卒業証書授与で)登壇しても、みんなが『優実!』と掛け声がすごかったりして、楽しい思い出です。あと、私も(劇中で演じたまなみと同じように)答辞を読みました」と明かした。ちなみに撮影時、監督にも答辞を読んだ経験があることを伝えてなかったそうだが、河合さんは「リアルな感覚で、意外と忘れてました(笑)」とあっけらかんと明かし「きっとまなみにとっても人生の1ページにしかならないんじゃないかなと思いました」と語る。

小野さんは、高校の卒業式で袴を着用したそうだが「呼ばれるのを待って座っていたら気持ち悪くなって…。袴がきつすぎて呼吸ができてなかったみたいです(笑)。控室で横になっていたんですが、呼ばれる5人くらい前に『そろそろだよ』と言われたら切り替えて、なんともなかったように卒業証書をもらいました」と“名優”ぶりを明かす。

小宮山さんは高校の卒業式はこれからだが「中学の時はコロナ禍でちゃんとした式ができなかったんですが、映画でちゃんとした卒業式を経験して、クラスメイトと体育館で一緒にできたらと楽しみな気持ちがわいてきました」と笑顔を見せる。

中井さんは「高校を途中でやめちゃったので(卒業式に)出ていなくて、映画で体験させてもらってありがとうございますという気持ちでした」と語りつつ「学校が苦手な人からしたら、式とか行事ってもっと苦手なので、撮影とわかっていても『この時間、早く終われ!』と思っていました(笑)」と撮影の卒業式があまりにリアルゆえに居心地の悪さを感じたと明かし、客席は笑いに包まれていた。

そして、監督、キャストには完全サプライズで、原作者の朝井リョウさんからの手紙が届けられ、MCが代読。映画の公開を祝うと共に「私は今作を観たあと、持参していた傘を会場に忘れたまま、車で来た道を徒歩で帰り始めてしまいました。小さな奇行を連発してしまうくらい、興奮していたのです」と語り、担当編集者と帰り道に本作について語り合ったことを明かし「素敵な映画というものは、観賞中はもちろん、劇場からの帰り道までも幸福な記憶にしてくれる」と称賛。そして4人の女優に出演のお礼を述べ「原作者のひそかの楽しみは、自分の作品に出てくださった方々を、その後、色んな場所で見つけること」と今後のさらなる飛躍への期待をしたためる。中川監督に対しても「今作を観たあと、丁寧で、邪念のないものづくりに触れたときにしか得られない充実感で胸がいっぱいになりました。本当に監督に撮っていただけてよかったです」と最大限の賛辞を並べた。

朝井さんの言葉に河合さんは「すごくグッと来てしまいました…」と感慨深げに語り、「朝井さんは『丁寧で邪念のないものづくり』と表現してくださいましたが、まさにそれを私も感じています。この4人、そしてそれぞれに寄り添ってくださった中川監督と『珍しいことだな』と感じるくらい、まっすぐな気持ちで作った映画です。なので、みなさんが素直にどう感じたのかをすごく楽しみにしています」と映画を観終えたばかりの観客に語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。

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