孤独な野獣（モンスター）

寡黙なうえに非常に理性的な鍵師の何初逢は、普通の鍵師とは少し違っていた。昔から伝わる伝統的技術を身につけており、この世に存在するどんな鍵も開けてしまう。ある商店街の奥に“野獣（モンスター）骨董店”という名のアンティークショップがあり、初逢はそこに小さな作業場を構えていた。ルームメイトは明るく話し好きな鑑定士の洛賓で、店主の米さん（米婆婆）、猫のあんまん（豆包）と共同生活を送っていた。
一方、蘇小月という名のアイドルの事件を担当することになった経験の浅い司法修習生の隋意。ファンが彼女の部屋に侵入したという事件だ。正義感あふれる隋意は、蘇小月から仕事を依頼された初逢と彼の助手をしていた洛賓をストーカーと勘違いし、彼らと衝突。その後、訳あって隋意は、初逢と洛賓とともに騒々しい共同生活を始めることになった。すると怪しい案件が発生し、個性的な依頼人も来訪。様々な事件や危機に遭遇することで、３人の絆は深まっていく。その後、神秘的な女性・小安に出会うことで彼らの生活は、より彩り豊かになった。
そんななか、初逢は、洛賓との出会いが偶然ではなく、妹の死と関係することに気づいてしまう。そして彼自身が解き明かしていった様々な謎には、師匠である顧南の影が見え隠れしていた。出生の秘密と、心に抱き続けたわだかまりが徐々に表面化し、愛と憎しみが一触即発となる。４人の若者はこの大都会で孤独を克服し、心の拠り所を見つけられるのだろうか？